「弱いは強い」を知る

逆説の真実がここにあります。
私的にも、社会人として会社などの組織に身を置いていても、いろいろな場面でみなさんすでに経験されているでしょう。
ああ、私は弱くてよかったと思ったことが何度かあります。けっして負け惜しみではありません。なぜなら、いざという時に強くなれないのでは困るからです。

人間、強くなくてはならないシチュエーションが巡ってきた時、覚悟を決めてチャレンジするから「強くなれる」のであり、実は「弱い」から「強くなれる」のだと思います。
弱い私も、いざという時には強くなれると思うとうれしい。強く見えたあなたも実際には弱い人間だと知ると親しみがわきます。

人間は誰も弱い。身体はいつも、問題を起こすし、心は、しょっちゅう不安で揺らいでいる。弱いのは恥ずかしいことではなく、人間の現実の姿そのものです。だから、格好を付けたり、強がりを言ったりする必要はありません。それは強く見せたい弱さの表現です。人間みんな大して違いはありません。

人間を強い、弱いで決めつけられません。「どんなことに」弱いか、どんな「場面」で強くなるかの違いだけです。
「私は強い」と強がりを言ってしまったら、どこからも、誰からも何の助けも得られません。正直に相手に弱いところ、困っている問題を、勇気をもって打ち明ければ、現実的な助けを得たり、アドバイスや教えを請うたり、学ぶことができます。弱い人間の、賢い戦術です。
感応道交
いつ誰が、どの時代につくったことばか謎なのですが「感応道交」(かんのうどうこう)という言葉を思い出しました。互いの気持ち、存在、立場を感じあい、理解しあい、交わりあい、応答しあって、互いが成長発展する、それを言い当てた昔の四文字熟語です。

一説に仏教用語と言われていますが、この言葉が意味するところを、すこしロマンチックに解釈し、お月様とそれを映す池のイメージで私なりに表現してみました。

暗い池に映った月は神秘的で美しい。池は月の光によって存在をあらわにする・・・・互いに一人では、はかなく、たよりない存在であっても、たがいに助け合って他者の力になる。

The moon reflected in a dark pond is mysterious and beautiful. The pond reveals its existence by the moonlight. ・・・・ Even though we may be fragile on our own, we can help each other and become a source of strength for others.

西洋にもGive and Take(持ちつ持たれつ)、Win Win (お互いさま)、Live together (共栄共存)、Mutual Prosperity
(相互発展)など、他の人と力を合わせて初めて強くなれるという表現があります。
一人の人間の出すエネルギーは強いからと言って、上から下に垂直に出せば、落下するだけです。でも、水平に流せば他者と手を組み、結合して大きな「強い力」となります。

弱いということを知れば、他者と協力して強くなれる。これこそ「弱い人間の賢い知恵」ではないでしょうか。

チャレンジ「するか」「しないか」は決定的な分かれ目

あなたの錯信帯(さくしんたい)は短くなりましたか? 意思決定の2つ方法を使えば、チャレンジ力を高め、あなたの前に新たなシチュエーションを開くことができます。(錯信帯、続、錯信帯、意思決定を参照してください)
子供も、大人も老人も、自分の置かれた環境、職場、家庭、学校で事の大小にかかわらず、一生、チャレンジし続けます。いや、せずにはいられない宿命です。

チャレンジしないと何も得られず、後悔が残ります。チャレンジしたなら、たとえ失敗してもそこから得るものは多く、後悔は小さくてすみます。チャレンジャーは人目を気にしません。批判にも揺らぎません。頼るのは自分の意志と情熱、持続力です。だから、まさしく孤独な実力主義者なのです。

チャレンジャーはやみくもに走り出したり、あわてて無茶な挑戦をしたりしません。一気呵成にエネルギーを出す人もいれば、コツコツ時間をかけて静かにエネルギーを燃やす人もいますが、いずれにしてもチャレンジャーは用意周到で、慎重なのです。希望的目標をしっかり立て、手段を充分に検討し、可能性を冷静に見つめ、判断したうえ、目標に向かって全力投球します。

人生で、厳しい環境に立たされた時、何かを失った時、「悪い結果を受け入れる」「耐えて待つ」「過去を捨てる」これもチャレンジです。あなたがそう決めた瞬間から、ネガティブな状況をポジティブなものに変えることができるインタンジブルパワーが動きはじめるのです。この素晴らしい力を無駄にため込まないで、エネルギーに変え、使わないと何ともったいない。

若いアスリートや発明家、発見者、芸術、文化、医学、すべてのジャンルで挑戦するチャレンジャーは、成功への階段を駆け上りたいから努力するのではありません。本心は、希望的目標へ向かう階段を登りたいのです。メダルや評判、名声より、掲げた目標に近づいたかが大切なのです。自分の力を試した結果に一喜一憂があっても、あっさり手放し、いつまでもくどくどと結果に振り回されません。なぜなら次に挑む目標があるからです。

チャレンジャーは一度や二度で挫折しません。これこそ、チャレンジする精神だと思います。
チャレンジャーが立派なのは、他の人に、社会に、世界に喜びをもたらすことです。幸せを運び、生活を便利に、快適にし、つぎのジェネレーションに、夢と希望をもたらします。

いったい、チャレンジャーは何に触発されてチャレンジしようとするのか、その要因はどこにあるのでしょう? 楽しいことに挑戦してみようというのも、そのひとつですが、案外、みなさんが気づかない、考えもしないことが、奮発の材料になっているのです。それは「目の前に立ちはだかる困難」、例えば、不便、不衛生、不足、不健康、不快、欠乏、未達成、悪い環境、病気、などマイナスの要因を乗り越え、そこからなんとか脱却しようとして、すべての情熱を注ぎます。まるで、天から与えられた仕事みたい!
チャレンジ
不便な日常生活から解放されるために家電製品が、不衛生、不健康、病原菌から生命を守るためにペニシリンや医薬品、医療機器が、快速を求めて乗り物が、エネルギーの欠乏から原子力が、など、マイナスの要因を乗り越えんがためにチャレンジします。プラスとマイナスの逆説的な結びつきです。新たな可能性を生むパラドックスとも言えます。

チャレンジするエネルギーは外からは見えない内に秘めたインタンイブルな力ですが、その力を取り出して可能ならしめるには、ここで唯一タンジブルな力に登場してもらわねばなりません。それは「お金」です。これが大きな力を発揮するのです。国や自治体、団体、企業は資金を出しチャレンジャーの目的を実現させるため、援助、融資することができます。これはお金の最もふさわしい手段としての出番です。おカネは物と交換する手段だけではありません。やる気でいる若い人、アントレプレナーたちに個人的にも応援することができます。さらに、教育、環境、情報、など与えるものは多々あります。

チャレンジャーたちのおかげで、寿命を伸ばしてもらい、楽しく快適な日々を送らせてもらっている私たちは、感謝の気持ちを忘れてはなりませんね。

過去に不可能であったことも
いま、チャレンジすることによって
未来の可能性が拓ける

「私」を測量する

自己評価ほど、むずかしいものはありません。
「ほんとうの私」を正しく知れば、そこからさらに大きく飛躍することができます。
客観的に自分を見つめ、自分と正面から向き合うのは、なぜか照れくさい。しかも、かなり勇気も要ります。自尊心の強い人は、なかなか裸の自分をさらすことができません。
人間には長所も短所もあります。自分の短所も自分の一部です。それを受け入れ、正直に自分の姿を見つめてみましょう。
自己評価のマトリックス
この図をよく眺めて下さい。
あなたの「私」は、いまどのあたりに位置していますか?
たとえば自己評価が低い人の場合、謙虚で我慢強いのがプラス面ですが、同時に自主性がない、周囲に気を使いすぎるというマイナス面もあります。また、高い人にはご覧のように、高慢、横柄、自信過剰など、よほど気をつけなければいけない反省点が多いのも事実です。
いちばん知っているはずの「私」の評価が高すぎたり、低すぎたりするなら、どんどん本来の自分から遠ざかり、自分を失ってしまいます。
単位は、個人だけでなく、企業や国家にもあてはまります。
マトリックス図は、むしろ政界、経済界でも大いに活用して頂きたいと願って描きました。
すべてがグローバルにつながり、猛スピードで変化をしていくなかで、自国についての評価も変化していかなければなりません。騒がず、耐え忍び、最後にはすべてを受け入れるのは日本人の美徳でした。でも、裏を返せば、責任回避、言いわけ、へつらい、など、迎合しておけばよいという、その場限りの態度を改めなければ、世界をリードする国として都合よく使われることはあっても、尊敬はされません。
地図に測量の原点があるように、「私」のスタート地点を分析し、未来図を作製してみましょう。正直、勇気、チャレンジ、色々なインタンジブル力を使って試してみて下さい。

あなたは、自分から逃げない、目をつぶらない。
現実を受け入れる。
そうすれば、自分を愛することができる。
さらには、自分以外の人を愛することもできる。

続・錯信帯(さくしんたい)

前回に続いて、帯の長い人の帯を短くするため、どうすればよいか考えてみました。

帯の長い人
意思決定ができない。あるいは、したくない。
できることなら先延ばしにしたい。そこから逃れようとするから、戸惑ったり、迷ったりするのだと気づきましたか?
 錯信帯の長い人は、意思決定の仕組みを理解し、決定がより前向きに、迅速に、できるようになるコツを覚えればよいと思います。

意思決定とは、2つ以上の選択肢の中から、1つを選ぶ作業です。当然、選択するには葛藤(conflict)があります。迷ってあたり前、迷わなければ意思決定になりません。みずからの立場、リスクや前例のありなし、過剰な依頼心、思い込み、失敗への恐れ、コスト意識など、葛藤の要因は様々です。

決定すると同時に責任が発生します。決定する事項が大きければ大きいほど、責任は重くのしかかってきます。だから、ついつい帯を長くしてしまうのです。それが悪い癖になっていきます。
意思決定は自由に意思が使え、結果に対してチャレンジできる大きなチャンスです。自分を試すときです。あなたが会社に勤めているなら、まず、小さい意思決定からはじめて、試してみたらいかがですか。
失敗は帯の短い人でも葛藤するでしょう。ただし、短い人は失敗しても、すぐ軌道修正をします。これも意思決定そのものなのです。しかも、何度でも修正出来ます。私など、「恥をかく、汗をかく、失敗する」の連続で自信を付けたようなものです。

さらに奥の手を使って、決定するには、2つの側面を知っておくと良いと思います。
意思決定の判断の仕方2
タンジブル(見えるツール)を疑う
タンジブルな「見えるツール」とは、統計(すでに過去)、情報(正しいかどうかわからない)、アドバイス(信用に値するかどうか)知識(偏っていないか)など、はなはだ、心もとないものです。ツール自体は役立つこと間違いなのですが、疑ってかかる必要もあります。人の意見も大いに参考になりますが、意図的に作られるニセ情報もあります。疑うのは嫌なことですが、良い決定をするにはやむを得ません。見えるからといって鵜呑みにしてはいけません。よく検討してから使いましょう。

インタンジブル(見えないツール)
個人的なビジョン(価値観)や経験や直感といった抽象的なものも大切なツールです。これなしでは、あなたらしいオリジナルな決定にはなりません。
直感は、でたらめではありません。脳科学では、判断の大切な要素とされ、世の中の80%はこれで決まるという説もあります。しかも直感は経験が煮詰まったものであって、過去の経験が大いに役立っています。
2つの側面を融合させて、より独創的な発想で、ポジティブな気持ちをもって決定すると納得がゆくと思います。
「まあ、当面これで行くか」「これなら、無難だろう」「他社から、そんなに外れていないし」「あの人もやっているし」などと考えるのはもってのほか。「この件は次回に検討します」「来年度に盛り込む予定です」など、こんな言葉は責任から逃れる方便。毎度も聞かされれば、ウンザリです。ネガティブな言葉は使わない、それだけでも、帯は長くなりますから。
錯信帯は個人的な問題だけでなく、企業や、政治の世界、国際関係においても使えるツールです。錯信帯の帯が、やや長い日本人は、ちょっと注意です。

帯は短く

ErroneousZone_sakusintai.jpg
Eroneous Zone(エロウ二アス・ゾーン) という言葉があります。
アメリカの心理学者ウェイン・ダイアー博士の本のタイトルです。今は亡き、上智大学の渡辺昇一教授が「錯信帯」(さくしんたい)と言う言葉に訳しておられますが、とても興味があるので深掘りしてみました。なにせ、辞書にも載っていない単語です。話を聞きたい両先生もこの世におられませんし、残念ながら、錯信帯という概念も、その後は途絶えています。
無形の力・インタンジブルが会社を変える』(PHP研究所 2013年刊)では、この考え方を私なりにとらえて紹介していますので参考にしてください。
エロウ二アス・ゾーンとは間違った情報や、思い込みに振り回されて、思い迷い、悩む「領域」のことを言いますが、今回は渡辺教授がせっかく「Zone」に「帯」という訳語を使っておられるので、領域を帯の長さという概念に置き換えてみました。
人間の行動パターンを大きく2つに分けて考えてみましょう。

帯の長い人
1 やりたいことに対し、思い込みや、先入観が邪魔をして、実際はやれること、出来ることを行動に移さず、戸惑い悩む心の癖
2 みずからの否定的な考えに自分自身が振り回される癖
3 失敗を恐れ、躊躇して行動を先延ばしにする
4 過去に対し嘆き、後悔ばかりする
5 起きてもいない未来のことを、あれこれ考えすぎる
6 他人を気にしすぎて、自分の意見を主張しないので、他人に振り回される
7 神経質に考えすぎて、強いストレスを感じる

「今年は家族でハワイ旅行をしよう。子供も喜ぶだろう。いや、待て、お金もかかるし、来年と言うこともあるし、やっぱりやめておこう」
「今日の会議ではあの件について、自分の調べ上げた結果を発表する。でも、部長がきっと難癖をつけるだろう。だから、やっぱり黙っておいた方が無難」
「介護の必要な母を手元で面倒見ておけばよかった。僕の心を後悔で一生苦しめるだろう」

帯の短い人
1 意思決定が早く、素早く行動に移す
2 今という時を大切にする
3 未来に起きることはその時に受け入れ、処理する覚悟をもっている
4 成功するためには失敗をいとわない
5 過去に起きたことは済んでしまったことと割り切り、後悔しない

「ああ、ハワイか、今年行かなかったら、来年何が起きるかわからない。行くぞー」
「あくまで私の調べた結果を発表します。検討はご随意にしてください」
「お母さん、できる範囲で介護するので、僕の所においで!」
錯信帯が長くて苦しむのは、無駄なことです。やさしい人、控えめな人がこのタイプに多いと思います。他者をおもんばかりすぎ、我慢しすぎなのではないでしょうか。他人を気にせず、少しずつ、自分中心に考えて行動する必要があると思います。

このような考え方からも、少し自分が見えてきたのではないでしょうか。案外、みずからが自分を傷めつけ、追い込んで生きづらくしているのです。外部に理由があると思い込んだり、人のせいにして、批評をする前に、自分の中に答えを見つけましょう。

ビジネスにおいては、なおさら「帯」の長短は、きわめて大切です。錯信帯が長い企業は生き残れません。
いったん組織に組み込まれると、組織の理論ばかりが優先され、個人のオピニオンなど主張しようものなら、たちまち出る杭は打たれて、平均的な社員になっていきます。とりあえず、目先の給料がもらえればそれでよいという価値観が企業風土として根付いていきます。こういう致命的な欠陥に目をつぶり、「いまさら、もう遅い」と改革をしぶる企業は「帯」が伸びきっているのです。

どうせやっても駄目だ →やってみないとわからない
人がしていることをしたほうが無難だ→人がしていないことにはチャンスがある

プロフィール

monterivie

Author:monterivie
世界的ブランド「フェイラー」創業者 山川和子が起業家になりたいあなたへ「私の経験」から語れることをお伝えしましょう。

ビジネス成功へのキーワード「インタンジブル」(無形の力)を使って理論的、かつ実践的に学び、「成熟した人格」「感動的な人生を送るための手腕」「文化的な富裕」を同時に身に着けられることでしょう。

  <独ホーエンベルク>
YSH山川高齢者施設財団
「住みよい街」ホーエンベルク財団

日独で執筆&講演活動中 

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