2023/05/15
花が美しいのには「わけ」がある
ブログによく出てくる「タンジブル」「インタンジブル」という言葉について、このあたりで説明をしたいと思います。
花屋さんに行くと、たくさんの花が美しいので迷ってしまい、最後は店員さんに「あなたにおまかせするわ」と言ってしまいます。セロファンに包まれ、リボンをかけられ出来上がった花束にお代金を支払い、配送を手配します。
あなたは花の一部分を見てその美しさを愛でていますが、スパッと切られた茎の下を覗いたことがありますか。泥のついた髭、ひん曲がった根っこ、中には虫もくっついていたりして、どろどろの花の正体があらわに見えます。汚い土中で水分や養分を吸収しているのですが、まさにここが花の「仕事場」なのです。24時間働きっぱなし。本来ならば、この目に見えない地下の労働の対価にお支払いしなければなりません。
花は定位置から動けないし、言葉も話さないのに、蜂や蝶々、風とコラボして子孫を増やしています。何としたたかな生き物でしょう。花の凄さを知ったら、「花は美しい」だけではすみません。「花はプロフェッショナル」「花は無限の力を秘めている」「花の頭脳は私たち以上」と言わねばなりません。


さらに、見えないところで、花はたくさんの仕入れ先から生きるための元素を買い付けています。カリウム、マグネシウム、リン、鉄、銅、水素、ヨード、亜鉛、刃物をつくるのに欠かせないモリブデン、原発で一躍名前が広まったセシウム、マンガン、など35、6種の元素がなければ、葉っぱは緑、花は、赤、黄色、白、になって咲かないからです。
ちょうど自分に必要とするだけの買い付け量を知っています。人間のように欲を出して、ため込もうとしません。黙々と作業をし、見えない作業場からやっと地上に出るときの姿はわずか数ミリ。その小さな姿をたくましく成長させるために厳しい自然現象にも耐えます。このプロセスを知らず、美しく、見える部分=タンジブだけにお金を支払いますが、本来なら、私としては見えない労働力=インタンジブルに支払ってあげたい気持ちでいっぱいなのです。あなたはどう思いますか?
物も人間も、見える部分(タンジブル)だけで成り立っているのではありません。見えない部分(インタンジブル)にこそ、その物の、実体があります。見える部分は、見えない部分に潜むエネルギーで支えられている結果です。見える部分だけで、定義づけず、決めつけず、評価せず、見えない部分、隠れている姿を知ったうえで評価を下したいものです。
姿や形になって表れた見えるもの(結果)は見えないパワー(原因)が存在しインタンジブルは、決して表に出ることのない蔭の実力者であることを知りました。
英国にジェームズ・アレン(1864-1912)という謎めいた思想家がいました。彼の著作は旧約聖書に次ぐベストセラーと言われています。アレンは、すべての「結果には原因がある」という法則を説いています。西洋にも仏教に似通った思想があるのだなと思います。つまり、この考え方は普遍的なのかもしれません。
花を一例として見えない力の凄さを説明しましたが、表面だけを見るのではなく、より深く見て、本質に迫り、なぜ見える部分がそうあるのかの原因を知ることが大切です。想像力を働かせ、好奇心や探求心、疑問をもって問うことであなた自身も深まったものの見方が出来るようになり、成熟した人格を養うことができるでしょう。
次回は怖いエネルギーについても考えてみたいと思います。
スポンサーサイト