背中のリュックには何が?

「もし、富士山に登るなら、リュックに詰めるいちばん大切な物はなに?」と聞かれて、ある人はスマホ、友だちは酸素ボンベ、そのまた友だちはホカロン、他の人は、水、意外だったのは聖書という人もありました。初めて登る人、すでに経験のある人、若い人、お年寄り答えはそれぞれで面白い。

富士山に登ったことのない私を含めて人間、誰もが登山家です。そして誰もが登る山があります。「人生という山」です。そのとおり、「人生は山登り」です。

岩場を越え、谷間で一休みし、汗をかきながら怖いもの知らずの若さで登り始めます。夢と希望というロープに引っ張られて頂上を目指し、やっと到着でき、一息ついたら、目前には早くも下りる道が迫っています。人生の峠に居続けるわけにはいきません。登った山は降りないわけにはいきません。山登りの一番きついのは下山でしょう。「下山上手は登山上手」です。麓に降りて、呼吸を整え、自分の登った人生の山の全景を眺めると、一心不乱に登っていた時の10倍ぐらいくっきり山が見えます。下山を果たした人の「人生望遠鏡」です。
登山のコピー
「人生山登り」はスマホやホカロンなどと違って背中に背負っているものの重いこと。その重さは計り知れません。それは、いったい何なのでしょう?姿のないもの、インタンジブルの中でいちばん重い「責任」です。それを途中で投げ捨てた人は血みどろになって転がり落ちるのみです。だから、下山するまで何が何でも背負っていなくては。

「責任」は下山途中で断捨離できません。それができる日は、命が消える日です。
自分一人だけが登るのならきついものですが、みんな登山仲間ですから励ましあうこともできます。生きとし生けるものは全員、万歳。みんなヒマラヤ級の登山を果たします。

さて、いちばん重いリュックの中味である「責任」について、それがどんなインタンジブルな力を持っているのか、少しずつ考えていきたいと思います。なぜなら、これを知り、使いこなせば、重いはずの人生が軽くなり、人生の登山も楽しくなり、いや、もっと自信にあふれ、理想とする人間性を身に着けられるからです。そしてその反対もしっかり知っていたいものです。

経営という登山にも、急な坂、ゴロゴロとした石や岩、があるのも当然のことです。そもそも、しっかりと靴の紐を結ばないうちは山登りはしないこと。
さて、経営者に降りかかる「責任」にはどのようなものがあるでしょうか。嫌な単語を並べてみました。

クレーム  リコール  謝罪  訴訟  裁判  損害補償  弁済  納税  慰謝料   損害賠償  契約不履行  リストラ  組織再編  労働争議  情報漏洩  オーナー会社の公私混同  不良債権  破産処理

いかにもおどろおどろしい単語ですが、責任を逃れよという気持ちさえなければ、なにも怖くはありません。責任を果たすはどういうことか、それは次回のテーマといたします。
とりあえず、今日は山の頂上でお茶を飲んで風景を楽しみ、高山植物を愛でてください。それも、もちろん山登りの醍醐味なのですから。

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「意思」をもぎ取られた マリリン・モンローの悲しみ

きょうは自動掃除機「ルンバ」を買いに出かけるのに、朝の一時間ほど決心がつかないで過ごした。何と決断力のないこと! 結局、自宅にいることに。次の日は雨。傘と杖をもって外出は怖い。だから家に。その次の日は、足が痛くて外出できなかった。その翌日にお友だちが訪ねてくる。4日間も、もたもたしているうちに、まあ、いいか、そのうち買えばと先延ばしにする。さすがに、自分のだらしなさのために、欲しいものを買うチャンスを逃した。また、意志の弱さに憂鬱になった。目的を逃さないために意思決定は早くて強い方がいいですね。

朝食はパンか、ご飯か。青い背広か、グレーにするか。友達に会うか、買い物に行くか、朝から晩まで意思決定の連続です。人生はその蓄積で、今のあなたが存在します。意思決定の早い人、遅い人、強い人、弱い人、それぞれです。

決定するには、選択の葛藤(コンフリクト)がある。
決定しなければならない理由(リーズン)がある。
決定と同時に結果の責任(リスポンシビリティー)がうまれる。

事の大小にもよりますが、即決も危険です。イチかバチかサイコロで決められないし、「あとは野となれ山となれ」は無責任。そんな能天気では困ります。「錯信帯」のブログを読み返してください。

スマートに意思決定するにはさまざまな方法があります。
情報を活用、同じような問題に直面した人にアドバイスを受け、説明を聞く。数値や統計を調べる。直感やひらめきも捨てられません。決定する際に最も大切なポイントは、「自分にとって良いことを選択」しているかが明確であること。どの方法を取ろうとも、いちど決定すれば、結果の良し悪しはあなたの責任です。

意思決定が速い遅いは、とりもなおさず「錯信帯の長短」です。あなたが望むものがどれほどあなたにとって大切かという「意思」をしっかり持っていないと決定できません。他の人に、「どうしよう」と問うても、あなたの望むものを他の人が意見したり、決めたりするべきではないからです。

私は、女優マリリン・モンローが大好きです。ハリウッドの映画界で「金髪のお馬鹿さん」扱いにされてきました。本来のマリリンは頭脳明晰、勉強好き、演技力への努力は並外れていたそうです。仮面の裏はデリケートさと意志の強さが人一倍だったそうですが、幼児期のトラウマから自分に自信を持っていなかったゆえ、他人や他の世界の人に、人生をつくり上げられ、自分の望まなかった人生を生きてしまいました。

マリリンの人間性、本質は横に押しのけられ、アメリカンドリームのために「意思」をもぎとられ、徹底的に利用されてしまいました。作家トルーマン・カポーティの言葉が、印象的です。「マリリンは大きな孔雀だと思っていたのに、実際に出会ったマリリンは、小さな病めるカナリヤだった」。
くじゃくとカナリア2
マリリンの言葉・・・「私は自分の中味によってではなく、外見で判断されるのです。ハリウッドは、外見には1000ドル払っても、魂のためには50セントしか払いません」

マリリンから多くのことを教わります。自分の「意思」に正直に従って人生を生きる、それは人間が平等に持っている権利ではないでしょうか。ひとことに「意思決定」と言っても人生そのものと直結するインタンジブルな力なのだということを知っていただきたいと思います。
「じゃ、そうする」は禁句です。

一寸法師のダイアモンド

一寸法師は小さなダイアモンドを持っていました。あまりに小さいので、持っていることも忘れ、価値も知らず、鑑定に出したこともありませんでした。ダイアモンドはCarat(カラット=重さ)、Cut(カット=輝き)、Color(カラー=色)、Clarity(クラリティ―=透明度)の4Cで評価されるのですが、お椀の底に眠っていたので、M&Aのその日までとりだして眺めたこともありませんでした。

小さいダイアはキラキラ輝き、透明度は高く、粒が大きなダイアモンドより、はるかに貴重な価値があったのです。M&Aで学んだことは、企業はダイアモンドと同じで、単にその大きさだけで価値は決められないということでした。
さて、企業の価値とはいったい何か。手に取ることのできるダイアモンド自体はタンジブル「有形資産」そのもの。感動、喜び、満足を与えるその光、輝きこそがインタンジブル「無形資産」で、これがしっかりしていなければ買う意味がありません。
企業における無形の価値
経営は理論や知識だけですむものではありません。人間に仕事をしてもらい、人間に物を売るのです。心を動かすのにトップにビジョンがなければ羅針盤のない船を動かすようなもの。徹頭徹尾、ビジョンを企業内で共有していること、それがあるから全員に方向性が見え、創造性が発揮でき、オリジナリティーが生みだせ、職場文化も醸成し、自信をもって市場に漕ぎ出せるのです。無形の価値は見えないところで全部つながっています。花の元素のようにどれも大切です。(参照、花が美しいのには訳がある)

経営には左脳(理)と右脳(情)の両方が必要です。もし、あなたが起業するならば、1人の人間がすべてに秀でているとは限らず、むしろそんなスーパーマンはいないと心得ておいたほうがが良いでしょう。自分の不得意な分野を任せる人材を確保し、活躍してもらう必要があります。まことにうまくできたカップルで、主人が左脳、私は完全に右脳人間。世の中には本当に素晴らしい特技や才能を持った人が多いと知りました。その人たちに助けられ、調子に乗ってお椀をひっくり返しそうになると主人やみんなが元に戻してくれました。

ああ、経営は楽しい!みんなと能力を出し合い、結び付き、ビジョンをひとつにし、可能性に向かって舟を漕ぐのです。資金がたんまりあっても、ビジョンがなければ無人島に漂着し、いつ来るともわからない迎えの舟を延々と待つことになる。ビジョンはトップだけが持っていてもだめ。全員が持たなければパワーになりません。「何を価値あるものとして仕事をするのか」「どのような価値をお客さまに届けるのか」1日1回、10秒でいいから、みんなで反復することを忘れないでください。

M&Aを決断したのがお正月明けの2月。デューディリジェンスが無事に終わり、秋の深まった10月には新社長を迎えることができたのです。これは、あまり例のない猛スピードで、周囲から驚かれました。
「この価値(ビジョン)を掲げ、あの島を目指す(オブジェクティブ)」がしっかりしていれば、島に着くまでの航海(プロセス)は、凪いでも、揺れても怖がらないで!どんな船もお天気に左右されるし、なにが起こるかもしれません。人生も同じではありませんか?それを乗り越えるのが経営です。

企業を目指す人、いま実際に現場で活躍している人も「一寸法師のお椀の舟だって島に着いた」を励みにしてください。

プロフィール

山川 和子

Author:山川 和子
世界的ブランド「フェイラー」創業者 山川和子が起業家になりたいあなたへ「私の経験」から語れることをお伝えしましょう。

ビジネス成功へのキーワード「インタンジブル」(無形の力)を使って理論的、かつ実践的に学び、「成熟した人格」「感動的な人生を送るための手腕」「文化的な富裕」を同時に身に着けられることでしょう。

  <独ホーエンベルク>
YSH山川高齢者施設財団
「住みよい街」ホーエンベルク財団

日独で執筆&講演活動中 

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