2023/09/11
立ちどまるだけで効果あり
最も信頼にかかわる人間関係はむずかしく、エゴを持った人間同士が社会の中でぶつかり合いを避けて生きていくのは至難の業(わざ)です。正直、死ぬまでこの道の達人になれないのが現実です。人間は、3歳ぐらいまでは損得を計算せず生きると聞きましたが、それ以降は「何をすれば自分の欲しいものが手に入るか」「どうすれば、自分に愛情を仕向けられるか」というふうに知恵が働くそうです。それ以降は子供といえども、猛スピードでエゴを発達させます。
ドイツにテン二エスという社会学者がいます。自分を取り巻く共同体で、人間は利害関係で結ばれている社会(ゲゼルシャフト)に生きています。そこは資本と労働、雇用、金融、為替、株式、動産、不動産などで縛られている社会です。いっぽう、利害関係のない社会(ゲマインシャフト)にも生きています。地縁、血縁、民族、師弟関係、宗教、芸術文化など中心に生きる関係だとしています。
こうしたテン二エスの考え方は、私の考え方、人間が見えるもので結ばれている社会(タンジブル)と、見えないもので結ばれている(インタンジブル)な社会の両方で生きていることを説いているのと、共通するものがあると思います。
私たちはサルタンバンク(軽業師)のように生きています。なぜなら、立場の違う人同士、夫婦、親子、兄弟、友だち、上下関係、先輩後輩、先生と生徒、取引先、顧客、恋人、同僚、隣人、趣味仲間、嫁と姑、知人などざっと見渡してもこんなにも多くの縁に結ばれ、しかも同時進行でその関係を生きているわけですから、だいした道化の技(わざ)の持ち主です。
互いが築いてきた関係にかけた時間がロスにならぬよう、社会の中で幸せと安心、信頼がさらに深まるように生きるには普段から心がけるべきことは何でしょうか。言葉にすれば良く理解できるのに、日々、実行に移すのは容易ではありませんがご安心ください。時々はっと気づき、立ち止まるだけで、かなりの成果を上げるからです。賢い人は立ち止まることを知っています。
1 自分にないものを相手の中に見つけても嫉妬しない。(美醜、お金、身分、その他)
2 相手が自分の手本であると思わない。あなたが自分自身の手本である
3 どの人も異なる環境、違う資質をもって生まれているので「異なる」を認める
4 相手を支配しようとしない
5 いくら親しくてもほどよい距離感を持つ
6 親しい関係であってもマナー、言葉、態度に気を付ける
7 いい時ばかりが関係を結ぶ期間ではない=相手がピンチのときに何ができるか
8 頼りすぎず、頼られすぎず、バランスを保つ
9 心の状態、経済面を開示した付き合いは無理をしないで互いに自然体でいられる
10 相手との間で波長がズレてきたと思ったら、場合によっては関係を断つ
11 相手にも自分にも正直でいる
12 気づかいし過ぎ、過剰な愛情や期待は相手も自分も疲れる
こんなことを考えながら、あなたとハズバンド(7)、あなたとお姑さん(12)、親しいお友だち(6)、子供(4)、上司(3)、仕事仲間(8)などと思い浮かべてみて下さい。なるほどと思うことばかりでしょう?どんな関係も突っ走らないでください。 はっと、立ち止まるだけで良い効果が出るのが信頼というインタンジブルの力なのです。
「社会人として」「家族の一員として」「人間として」「経営者として」「仲間として」・・・
あなたは信頼されていますか?
あなたがなぜ信頼されていないのかを知っていますか?